火災保険に税金はかかるの?確定申告は必要なの?と疑問になる方も多いかと思います。
今回の記事では、火災保険に関する税金のルールや、確定申告などの手続きについて解説していきます。
目次
火災保険の保険金は確定申告が必要?
火災保険を申請し、下りた保険金に対して確定申告する必要はあるのでしょうか?
税金がかかるとなれば確定申告する必要があるため、気になりますよね。まずは火災保険で下りた保険金の税金について解説していきましょう。
基本的に必要ない(非課税)
火災保険で下りた保険金について、基本的に確定申告する必要はありません。なぜなら火災保険で下りた保険金は「非課税」に該当するからです(※個人の場合)
そもそも火災保険は損害による被害を補償する制度であり、収入や利益ではありません。なお仮に損害金1,000万円を受け取ったとして、修理・修繕に500万しか使わなかったケースでも、残りの500万は非課税扱いになります。
結論としては、個人であれば火災保険で下りた保険金は非課税なので、確定申告を意識する必要は全くありません。
贈与税もかからない
火災保険で下りた保険金には「贈与税」もかかりません。贈与税とは、「保険料の支払者」と「保険金の受取人」が異なる場合にかかる税金を指します。
例えば親が所有している建物に対し、別居している子どもが火災保険に加入して保険料を支払っているとしましょう。このケースで火災保険の保険金を親が受け取った場合、贈与税は一切かかりません。
火災保険の保険金で課税対象となる特別なケース
火災保険の保険金で課税対象となる特別なケースは下記の3つです。
- 法人物件の場合
- 物件が共同名義の場合
- 火災保険積立型の満期返戻金
1つずつ見ていきましょう。
法人物件の場合
火災保険の補償対象が法人物件だった場合、「法人税」がかかってきます。なぜなら法人で受け取った保険金は、収入扱いになるからです。
一概には言えませんが、単純に「収入扱い=利益の増加」となり、「利益が増える=納める法人税が増える」といった流れになります。
なお個人事業主に関しては、事業に係る商品は課税対象になりますが、建物や設備の場合は非課税です。事業に係る商品や原材料の損害による保険金は、「売上」で計上して損害を補填するため、課税対象となります。
一方で建物や設備に係る保険金は「事業主借」で計上するため、非課税です。
物件が共同名義の場合
建物が共有名義かつ保険金を1人が全額受け取った場合、課税対象になります。
通常共有名義であれば、共有持分割合に対して保険金が支払われます。1人が全額を受け取ると共有者からの贈与とみなされるため、贈与税の対象となるのです。
火災保険積立型の満期返戻金
積立型の火災保険の場合、満期返戻金を受け取るとそのお金は課税対象となります。火災保険は掛け捨てが一般的ですが、積立タイプの火災保険もあります。
満期返戻金を受け取ったケースでは、保険料の支払いと受取人が同一だと「一時所得」扱いで所得税の課税対象となり、支払人と受取人が異なる場合は「贈与税」の対象です。
契約時に契約期間を指定し、保険金が支払われないまま契約満期日を迎えた際、契約者に返金されるお金のこと
火災保険で控除されるケース(確定申告)
確定申告の控除において、火災保険で控除されるケースもあります。
- 災害減免法による所得税の軽減免除
- 雑損控除(修繕の自己負担がある場合)
それぞれ分かりやすく解説していきましょう。
災害減免法による所得税の軽減免除
災害によって受けた住宅や家財の損害金額が時価の1/2を超える(※保険金で補填される金額を除く)、かつ災害にあった年の所得が1,000万円以下の場合、災害減免法で所得税が軽減・免除されます。
所得金額の合計額 | 軽減または免除される所得税の額 |
500万円以下 | 所得税の額の全額 |
500万円を超え750万円以下 | 所得税の額の2分の1 |
750万円を超え1,000万円以下 | 所得税の額の4分の1 |
また給与所得者や公的年金等の受給者が災害による被害を受けた場合、一定の手続きをすることで、源泉所得税の徴収猶予や還付が受けられる可能性があります。
雑損控除(修繕の自己負担がある場合)
災害や盗難で資産に損害が生じた場合、一定の金額の所得控除(雑損控除)を受けられます。控除額は以下2つのうち、控除が大きい方です。
・差引損失額―(総所得金額×10%) ・差引損失額のうち“災害関連支出の金額”―5万円 ※災害関連支出の金額とは ①災害により滅失した住宅、家財などを取壊しまたは除去するために支出した金額など ②盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のための支出など |
なお雑損控除の対象になる資産の要件は下記の通りです
損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまること。 (1)資産の所有者が次のいずれかであること。 イ 納税者 ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)の方 (2)棚卸資産もしくは事業用固定資産等または「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。 |
損害の原因としては下記のいずれかの場合に限られます。
(1)震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害 (2)火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害 (3)害虫などの生物による異常な災害 (4)盗難 (5)横領 |
火災保険の税金や確定申告に関するQ&A
保険契約者と物件所有者が違う場合の税金はどうなる?
火災保険で下りた保険金において、保険契約者(支払人)と物件所有者(受取人)が違う場合でも税金はかかりません(非課税)
火災保険の保険金は例え贈与だとしても、贈与税は発生しません。
保険金は修理に使わなくても大丈夫?
火災保険の保険金は修理に使わなくても問題ありません。修理に使おうが生活費に使おうが自由です。
もちろん法律違反にもなりません。ただし修理箇所を放置して再度同一箇所に被害が起きた場合、保険の補償対象外となるので留意しておきましょう。
まとめ
- 火災保険の保険金は基本的に非課税
- 契約者と所有者が違う場合でも非課税
- 税金がかかる特別なケースもある
- 火災保険は確定申告控除にも活用できる